風のタウマゼイン
「 ガイアと私〜本気で世界を変えていくために 」
ガイア都市創造塾塾長 風見正三
ー 1 地球時間と人間の一生 ー
地球の歴史からすれば人間の時間はあまりに短く儚いものです。
それでも、忙しい日々は過ぎ、人生は思いどおりにならないという人がいるかもしれません。
でも、思い返してみてください。
日が暮れるまで野原で遊んでいた幼少期、未来への希望に溢れていた青春時代。
何も怖れるものはなく、どこまでも行ける気がした時代。
我々の記憶の中にはそうした希望の風景が息づいています。
そして、その思いは、あるとき、急に湧き上がり、人生を変えていく原動力になっていきます。
幼い頃は力がなく実現できそうもなかった夢も、今なら実現する方法を考えられるでしょう。
自分の本当にしたかったことを始めるのに、遅すぎるということはありません。
夢を実現するチャンスは、突然訪れます。
人は天命を知ることで強くなります。
自分はなぜここにいるのか?
自分はどこに行こうとしているのか?
自分は何をするために生まれてきたのか?
誰しもそんな疑問を持ったことがあると思います。
そんなときこそ、自分の原点に返ってみてください。
そして、自分の歩いてきた道を見つめ、もう一度、人生のゴールを見定めてください。
そのとき、過去、現在、未来が浮かび上がってきます。
人生最良の日を思い返すかもしれません。
降りしきる雨の中を泣きながら走った日を思い返すかもしれません。
そして、その道程の上で、今の自分があることを知るでしょう。
今、そこに立っているあなたを俯瞰したとき、今の仕事は、本当に自分のやりたいことですか?
自分の夢は何であったのか、思い返してみてください。
私も何度となく、そうした岐路に直面し、自分を振り返り、未来を展望し、
交差点に立ち、その都度方向を定めてきました。
そんなとき、いつも心にささやいていた言葉があります。
それは、
「 魂を語ることを恐るるなかれ(Don't be afraid to talk about sprit.)」
というメッセージです。
これは、龍村仁監督の「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第三番」という映画の中で、
アラスカのクリンキッド族の語り部であるボブ・サム氏が語る言葉です。
自分の魂の言葉、自分の内なる言葉を語り、歩むことを恐れるなというメッセージです。
ー 2 自然との対話とガイアへの道 ー
私自身の幼児期は、日が暮れるまで自然の中で遊び、人生の計画など何もない日々でした。
旧家ではありましたが、自由奔放に育てられ、
筑波山や富士山を眺める美しい田園風景の中で育ちました。
幼い頃に暮らしていた
藁葺き屋根の家は、寝たままで星が見えるような自然との対話の日々でした。
龍村仁監督は、『地球交響曲(ガイアシンフォニー)』という自主上映の映画を製作し、
自然と共に生きる人々のドキュメンタリーを世の中に出してきました。
「ガイア(GAIA)」の接近を強く感じるようになったのは、
この映画との出会いがあってのことです。
この映画の中には、ジェームズ・ラブロック博士が提唱する「ガイア仮説」や
アイルランドの音楽を奏でるENYA、アラスカで亡くなった写真家の星野道夫さんなど、
ガイアを感じる様々なキーワードがあふれていました。
私は、大成建設に勤務していた当時に、東京の草月会館というホールで、
この映画を鑑賞する機会を得ました。
『ガイアシンフォニー第三番』に出会い、
自分の人生はこれで良いのかという思いが湧き上がってきたのです。
映画終了後には、居ても立っても居られなくなり、
その足で、龍村事務所を訪ねたことは今も忘れません。
映画の中からは、
「魂に忠実に生きる」
「自然の声を聞くことができる社会を創る」
そんなメッセージを受け、魂が揺さぶられるものを感じました。
そして、これを契機に、これまでの経験を活かしながら、
地球を尊重する社会を築くために「ガイアへの道」を歩む決心をしました。
その決意をした瞬間、不思議にも、過去、現在、
未来がつながり、ひとつの物語となっていきました。
幼い時期から美しい田園風景の中で育った私は、
東京で建築を学ぶ中、F.L.ライトやE.ハワードといった
自然を尊重する建築家や思想家に共感し、
建築学という領域を超えて、都市計画学、経営学、環境政策学
といった分野も学びながら、ガイアへの道を深めてきました。
そして、大学卒業後、総合建設会社で都市開発の仕事に従事するようになり、
全国の都市開発プロジェクトに携わりながらも都市の未来に疑問を感じ、
学生時代に出会った「田園都市」の思想を研究するために、英国留学を計画します。
1991年4月、湾岸戦争の最中に、ロンドンに渡航した私は、
1992年に開催された「地球サミット」にロンドン大学の大学院生として出席する機会を得ました。
この運命の出会いが、その後の私の人生を大きく変えていくことになります。
この国際会議で「地球環境の危機」「持続可能な発展」の重要性を知った私は、
もはや、これからの人生をこれまでと同じように生きることはできないと感じました。
英国国立ロンドン大学政治経済大学院、経営学大学院で、
都市地域計画、経営学の二つの修士号を取得した私は、帰国し、
環境デザイン分野に転身するとともに、
東京工業大学大学院の博士後期課程に進み、博士(工学)を取得。
そして、企業人としての過酷なスケジュールの中、7年半の歳月をかけて、
必死の思いで博士号を取得しました。
さらに、運命と感じたのは、
博士号を取得した直後に宮城大学の教員公募があり、
まさに、天に導かれるように、大学教授への転身を果したことです。
長年の夢であった大学教授の日々は、心を満たすものでした。
東北地方の美しい田園風景に癒されながら、
自治体や中小企業の指導を行う日々が続きましたが、
2011年3月11日、東日本大震災が発生し、未曾有の大災害に遭遇することになりました。
ー 3 東日本大震災からの未来創造〜森の学校のチャレンジ ー
東日本大震災は、大津波によって、沿岸部の諸都市が壊滅的な打撃を受けるとともに、
たくさんの尊い命が奪われました。
この大災害を目の前にして、被災地の大学として、
あるいは都市計画家として、何ができるのか、自問自答をしながら、
震災復興に文字どおり命をかける日々が続きました。
もしも、あの日、沿岸市町村で会議があったなら、
私もこの世にはいなかったという思いが
震災復興を達成しようとする大きなエネルギーになっていました。
そんな中、大津波で流された小学校を
「森と一体化した学校」に再建するプロジェクトに携わることになります。
2017年1月に、6年半の歳月をかけて完成した「森の学校(東松島市立宮野森小学校)」です。
この「森の学校」は、被災した小学校を子どもたちと共に
未来の学校として構想するプロセスであり、被災地の希望を可視化するチャレンジでした。
そして、この地域と共に未来を創造するコミュニティデザインのアプローチに対して、
2017年度のグッドデザイン賞を受賞することができました。
大震災は、懐かしい風景を壊滅させ、
多くの命を一瞬にして奪いましたが、
一方で自然の叡智や命の大切さを学ぶ機会にもなりました。
「森の学校」は地域の美しい自然環境を尊重し、
自然との一体感の中から生まれる持続可能なコミュニティや地域産業を具現化していく
プラットフォームとなります。
地球の大いなる力の前では人間は無力であり、
自然への畏敬の念を取り戻すことが、
本質的な課題解決策につながることを学ぶ場が必要でした。
「森の学校」は、そうした自然と共に生きるための、
未来の学び舎となっていくことが期待されています。
ー 4 ガイアの学び舎の創造〜本気で世界を変える同志をつなぐ ー
関東平野の美しい田園風景に育ち、
バブル経済の崩壊や高度文明の限界に直面しながら、
英国の地で「持続可能な社会」のビジョンと出会い、
地球的な視点から持続可能な社会を創造していくことを使命と感じていた私は、
このときに、
「地球と共に生きる村を創る」
「地球と共に生きる人を育てる」
ことを生涯の目標としました。
英国留学後、この目標を実現するために、
約8年の歳月を経て、大学教授に転身し、
若き志士を社会に輩出するとともに、
社会の中で自らの道を模索する人々に対して道を示すことも始めたい
と考えるようになりました。
そして、2016年、「世界を本気で変えていく同志」をつなぐ塾の創設を決意し、
2017年1月、地球的な視点から持続可能な地域や企業を創造する人材育成塾
「ガイア都市創造塾」
が誕生することになりました。
ガイアの思想を体系的に学びながら、
自分の原点を知り、自分と社会とのつながりを再構築した上で、
天命を発見していく志塾。
30年を超える企業や自治体に対するコンサルティング、
人材育成の経験、
都市計画から経営戦略までの学際的な研究成果を集大成し、
地球的な視点による社会改革を実現していく学びの場を創設することにしたのです。
ー 5 天職を全うする〜自分の本質から仕事を生み出す ー
ガイア都市創造塾が目指すものは、
建築士を取得する、公認会計士を取得する、
といった実務的なスキルの習得ではなく、
より根幹的な人生哲学を学ぶ場を創造することにあります。
自分が本当になりたいものを理解していなければ、
資格を取っても十分に活かすことは難しくなります。
ガイア都市創造塾で学んでいくものは、
その意味では「自分を知る」技術といってもよいでしょう。
「汝自身を知れ」という言葉がギリシャのアポロン神殿の門に書いてあります。
これは自分が何者かを知らずに自らの道を決めることはできないことを示唆しています。
両親や先輩からの助言を聞いて、自らの本質を見極めずに進路を早々に決めてしまう人がいます。
人間は社会的な関係性の中で「自分」の存在を構築していくものですが、その中で、
社会的な評価や視線を過度に受け止め、精神的な苦悩を抱える人も少なくありません。
しかし、人間は地球から生まれた美しい生命であり、
広大な宇宙の中の輝きとしてそのまま生かされているのです。
人との関係性で苦しくなったとき、
広大な宇宙の中で浮かぶ瑠璃色の地球に生きる自分を想像してみてください。
多いなる大自然の中で自由に生きている自分。
ガイア都市創造塾では、
そうした本当の自分に向き合うための講義やワークショップを行い、
「ガイアと私」の関係性を再構築していきます。
すべての生命は、地球(ガイア)からの恩恵を受けています。
この母なる地球とのつながりを取り戻すことによって、
自分は何者なのかを思い出し、自分の目指す道を構築していきます。
真の「天職」とは、こうした自分という存在の本質的な理解から生まれるもので、
そこから
「今の仕事をどう変えたらよいのか」
「どんな事業を起こしたらよいのか」
「どういう会社とアライアンスしたらよいのか」
を具現化していくことになります。
ガイア都市創造塾は、東京と仙台の2キャンパスがあり、
毎月1回、半年をかけて6回の講座で学んでいきます。
この1講座をエピソードと称し、『スターウォーズ』の世界観のような
「自らの力を信じて、天命を見極め、世界を救っていく」物語を意図しています。
スターウォーズのエピソード7は『フォースの覚醒』というタイトルでしたが、
フォースとは、自然界の中に存在するエネルギーであり、
森羅万象をつくり出す自然の力を意味しています。
「スターウォーズ」は、ジェダイと呼ばれる希望の戦士が自らの使命を発見し、
力を合わせて世界を変えていく物語ですが、
ガイア都市創造塾も、
大自然のエネルギーを感じ、
自分の力を信じ、
本当に自分のやりたいことを見つける物語を紡いでいく場なのです。
ー 6 世界を変える仕事〜社会的な共有価値を創造する ー
世界を変えていく仕事は、自らの天命を知ることから始まります。
天命を知ることは、自分自身を信じ切ることであり、
そこから、自分だけの物語が始まっていきます。
ガイア都市創造塾のエピソード3までは、
ガイアの思想を学びながら、地球意識の理解や自己創成を進めていきます。
自分が何者であるかを見つめ、
その上で「自己尊厳=セルフアイデンティティ」を確認し、
自己の独自性を導き出していきます。
自分の故郷である地球に対する想いを呼び覚まし、
社会的な束縛から解き放ったときに心の底から湧き上がる想い、
自分が本当にやりたかったことをつかみ取り、
社会における使命ともいえる「CSV:Creating Shared Value」を言語化していきます。
エピソード4からの後半では、
この天命を実現するためのCSVを踏まえたビジネスモデルを構築していきます。
CSVは、経営学者のマイケル・ポーターが提唱した概念で
「経済的な利益と社会的価値」を両立させることが「企業の本質的な価値」を高めること
を示したものです。
競争戦略の専門家であったポーターが、
社会的な価値を生み出すことが企業の経営戦略の重要な鍵であると論じたことは、
地球時代の経営戦略を予感させるものでした。
エピソード4からの後半では、
この社会的な価値を生み出す自分を実現するためのCSVを構築し、
それを踏まえたガイアビジネスモデルを構築していくことになります。
そして、修了式では、CSVに基づくビジネスモデルのプレゼンテーションを行います。
自分自身のやりたいことを、6ヶ月をかけて、
社会、企業、地球とつなぎながらCSVとしてまとめていきます。
地球的な視点から、自分と社会をつなぎ合わせることが、
ガイアビジネスのアプローチです。
自分の夢を実現していくためには、プレゼンテーションは大きな力となります。
「自分のやりたいこと」を言語化しなければ、その思いは誰も理解できません。
自分を解放し、本当の自分から発するビジネスモデルをつくることが真の成功への道です。
ここでの成功とは、自己尊厳に基づく自らの夢の実現であり、
本来の自分を知り、本当にやりたかった仕事を手にしていくことが、
ガイアビジネスの真髄なのです。
ー 7 ワンネスの実現〜自分から世界を変える ー
ガイア都市創造塾は2017年の10月に二期生を受け入れ、
ガイアミッションの領域もさらに広がりを見せています。
「森の学校(東松島市立宮野森小学校)」は、
震災復興のシンボルとして数多くのメディアにも取り上げられ、
そのコミュニティデザインの取り組みが2017年度のグッドデザイン賞を受賞したのは先に述べたとおりですが、
この森と一体化した未来の学校は、塾生の様々なアイデアともつながり、
ガイア的な教育プログラムの開発へと発展しつつあります。
森を活用した食育事業やツリーハウス等を基点にした自然教育事業、
廃校された小学校の再活用事業、未病をテーマにした絵本セミナー事業等、
塾生が自分のやりたかったことを手にしていくドラマが起きています。
人生は自分が主人公であり、ガイア都市創造塾は、
自分がどんな映画の主人公になりたいのかを見つけていく塾ともいえるでしょう。
そして、自分のやりたかったことや才能に気づいた後は、
それを実現するための実践的な経営ノウハウや具体的なアライアンスが重要になります。
ガイア都市創造塾では、こうした自分のやりたいことを仕事にするノウハウも習得していきます。
ビジネスの基本は顧客創造にあり、ガイア都市創造塾においても、
パーフェクトカスタマーの考え方やブランディングの理念を学び、
具体的なビジネスモデルの構築を行います。
そのためにも、まずは、自分の強みを正しく認識することが重要であり、
前半では、そのための自己創成を徹底して行います。
「自分はこういう人間だ」と思っていたものが、実は違っていたということは多々あります。
本当の自分を、常に心の中に捉えておくことは簡単なことではありません。
「本当の答えは自分の中にある」ということを実感しなければ、真の成功はありません。
「内観」からすべてが明らかになります。
自分をしっかりと捉えられたなら、後は行動です。
そして、そんなとき、同じ志を持った仲間がいてくれたら、さらに勇気は湧いてきます。
「本気で世の中を変えていきたい」という志を持った仲間が、
自分の使命や夢を実現する欠かせないピースになっていくことでしょう。
そして、その志をつなぐものは、CSVとそれに基づく行動です。
行動は仲間をつなぎ、世界をひとつにしていきます。
世界を変えた伝説のスピーチがあります。
1992年のアースサミットにおいて、セヴァン・カリス=スズキという当時12歳の女の子がしたスピーチです。
「どうやって直すのか分からないものを壊し続けるのは、もうやめてください」
「大人はいつも、私たちを愛していると言います。もし、その言葉が本当なら、どうか行動で示してください」
と、世界各国の閣僚を前に、魂を揺さぶるスピーチをしました。
大人たちはいろいろな言い訳を言うかもしれません。
しかし、セヴァンの突きつけた質問は、シンプルで強いものでした。
私たちは本当に自信を持って、
子どもたちに素晴らしい地球を残せるのか。
地球環境の悪化に、あなたの仕事が関わりないと言えるのか。
すべてのことはつながっています。
ガイア都市創造塾では、このことを「ワンネス:Oneness」と呼んでいます。
ワンネスという思想は難解な概念ではありません。
人間の祖先をたどっていけば、人類の根源に到達するでしょう。
地球の起源はビッグバンに表されるように、一点から始まり、生命もひとつにつながっています。
「すべてはひとつである」という真実にたどり着けば、
すべての生命がつながっていることに気づくはずです。
「大きな変化は小さな変化からしか起きない」という言葉があります。
世界を変えるには、あなた自身が変わることです。
あなたが変われば、あなたの周囲がその変化に気付き、確実に世界は変わっていきます。
あなたの笑顔が人を癒すように、あなたの想いが人の想いを変えます。
あなたの幸せを広げていくことが地球の幸せにつながります。
『ペイフォワード』という映画があります。
善意を他者につないでいくことで世界を幸せにしていくアイデアを生み出した少年の物語です。
志をつないでいく、愛を広げていく、
そんな生き方が、幸せを生み出す源泉になります。
いつの世においても、シンプルなメッセージは一番強いものです。
我々は限りある資源と共に航海を続けている「宇宙船地球号」の乗員です。
地球からの多大な恩恵に感謝し、本当に自分のやりたいことで地球に貢献しながら、
志と善意が連鎖するワンネス社会を実現する時期がきました。
世界を本気で変えていきたいあなたには、たくさんの同志が必要です。
今こそ、美しいガイアを次世代につなぐための世界的なネットワークが必要となっています。
ガイア都市創造塾では、様々な地域と地域、地域と世界を結びつけ、
志の連鎖による「地球家族(ガイアファミリー)」を醸成することによって、
持続可能な未来を実現していきます。
本気で世界を変えたいあなたとつながる日を、楽しみにしています。